債権回収の注意点

「債権者に催促をしているが、のらりくらり対応されて、時間だけが経過していく」

「売掛金が何ヶ月も回収できない状態が続いている」

 

こういった、長期にわたる不払いが続いている債権の場合、注意しなければならないのは、「消滅時効」です。民事債権には時効が設定されており、債権の種類に応じて定められた期間を過ぎてしまって時効が完成し、相手方から時効であると主張されれば、債権者の権利は消滅して認められないことになります。そこで債権者としては、時効が完成しないように、きちんと債権を管理することが必要になります。

 

消滅時効

一般の民事債権の消滅時効は10年、商事債権の消滅時効は5年ですが、債券の種類によっては、さらに短い期間が定められているものもあり、注意が必要です。

 

消滅時効の時効期間 例

債権の種類

時効期間

・小切手債権

6ヶ月

・旅館・宿泊費、飲食料

・運送料金や運送業者への損害賠償請求権

・大工等の肉体労働者、歌手等の演芸を業とする者の報酬 

1年

・売掛金債権

・労働者の賃金や労災補償金

2年

・約束手形の振出人、為替手形の引受人の債権

・不法行為に基づく損害賠償請求権

・診療報酬

・工事業者の請負代金

3年

・一般の商事債権

・退職金

・家賃・地代、利息、マンションの管理費など

5年

・一般の民事債権

・確定判決、和解調書、調停調書によって確定した債権

10年

・債権または所有権以外の財産権

20年

 

時効期間は、「権利を行使しうる時」から始まるという原則がありますが、実際に、それがいつであるのかは、専門的な判断が必要な場合もありますので、一度弁護士にご相談ください。

また、2020年4月1日施行の改正民法では、時効に大きな改正があるため、注意が必要です。改正民法では、いずれの種類の債権も、①権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または、②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき、のいずれか早く到達するときに時効によって消滅することになります。(さらに、不法行為に基づく損害賠償請求権に、生命・身体の侵害による場合の特則が設けられています。)

 

改正民法が適用されるのは、施行日以降に発生した債権ですので、いつの時点で生じた債権かどうかで、旧法・民法の適用が分かれ、時効に対する取り扱いが大きく異なることになります。

 

時効の中断

 

債務者がどうしても催促に応じない状況が長期にわたる場合には、時効の完成を防ぐために、「時効の中断」を検討する必要があります。

 

その一つの方策として、しばしば用いられるのは、内容証明郵便による「催告」です。もっとも、催告を行った場合、それだけでは時効が中断せず、催告から6カ月以内に裁判上の請求等の法的手続きを開始しなければ、時効中断は完了しません。

 

また、債務が存在することを債務者が「承認」した場合も、債務者は、再度時効期間が経過しない限り、時効を主張できなくなります。この場合、債務者が、債務を承認したことを証拠として残しておくことが重要になります。弁護士が介入し、債務確認書などの書面を作成することが有効です。

 

2020年4月1日施行の新法においては、時効の中断が、時効の「更新」や「完成猶予」として再編成される等の改正点がありますが、基本的な考え方は変わっていません。

 

債権の回収は、弁護士に依頼をしていただくことで、時効も念頭に置いた管理が可能となり、状況に応じた最適な対応ができるようになります。面倒な債務者との交渉や内容証明郵便などの書面の作成は、弁護士が代理で行います。回収の可否判断や催促のポイントなど、法律の専門家にしかわからない領域もございますので、債権回収を検討されている方は、ご相談下さい。

0859-33-1019 受付時間: 平日9時~18時 メールでのお問い合わせ
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